ベーカリー(パン屋)開業の内装費用の相場【東京】
最終更新: 2026年8月
ベーカリーは飲食店の中でも厨房設備への投資比率が特に高い業態です。オーブン・ミキサー・ホイロ(発酵器)といった製パン機器は1台で数十万〜数百万円のものが多く、機種によっては動力(三相200V)電源の引込みやガス容量の増強が必要になるため、物件の設備条件が費用を大きく左右します。ここでは複数の内装関連メディアの情報を照合し、東京でベーカリーを開業する場合の内装費用の目安を紹介します。
費用相場の早見表
| 物件の状態 | 坪単価の目安(税抜) | 15坪の場合の単純計算 | 20坪の場合の単純計算 |
|---|---|---|---|
| 居抜き | 35万〜60万円程度 | 525万〜900万円程度 | 700万〜1,200万円程度 |
| スケルトン | 45万〜80万円程度 | 675万〜1,200万円程度 | 900万〜1,600万円程度 |
坪単価は店舗設計施工.comの目安(スケルトン約45万〜80万円、居抜き約35万〜60万円)によるもので、総額の欄は坪単価×坪数の単純計算です。一方、GOOPANは内外装工事費のみの相場を坪30万〜50万円としており、坪単価に厨房設備費をどこまで含めるかで数字は大きく変わります。ベーカリーは設備費の比重が大きい業態なので、見積りを比較するときは「厨房機器が含まれているか」を必ず確認してください。
出典: 店舗設計施工.com「パン屋・ベーカリーの内装工事の費用相場」(https://www.shop-reform.com/case_study/marketprice/bakery)、GOOPAN「【シミュレーションあり】パン屋開業に資金はいくら必要?具体的な金額や内訳」(https://sala1.jp/column/bakery-open-costs/)
費用の内訳と変動要因
ベーカリーの費用の核は製パン機器です。店舗デザインマガジンの記事(2018年時点)では、内装工事費を除く機器設備費用は新品でそろえた場合400万〜800万円程度とされ、IDEALの記事でも新品の厨房設備一式で約600万円(合計46万〜600万円)という目安が示されています。
主な機器の価格帯の目安は次の通りです。
- オーブン: IDEALは12万〜300万円、GOOPANは20万〜450万円としており、デッキ数・容量・新品か中古かで大きく変わります。
- ミキサー・ニーダー: IDEALはニーダー7万〜100万円、GOOPANはミキサー15万〜220万円が目安です。
- ホイロ(発酵器): IDEALは5万〜100万円、GOOPANは5万〜150万円が目安です。
- 冷蔵・冷凍庫: 10万〜100万円程度(IDEAL)。冷凍生地を使う場合は冷凍設備の容量も検討が必要です。
出典: 店舗デザインマガジン「ベーカリーカフェを開業するにはいくらかかる? 厨房設備の費用を解説」(https://www.tenpodesign.com/magazine/article/37)、IDEAL「パン屋の開業資金の相場は?開業に必要な資格や許可、内装費用も解説!」(https://ideal-shop.jp/news/start/17122/)、GOOPAN「【シミュレーションあり】パン屋開業に資金はいくら必要?具体的な金額や内訳」(https://sala1.jp/column/bakery-open-costs/)
このほか、坪単価に影響する要因として次のような点があります。
- 電気・ガスの容量: 業務用オーブンやミキサーには動力(三相200V)電源が必要な機種が多く、物件に動力が引き込まれていない場合は引込み工事が追加でかかります。GOOPANの20坪モデルでも、電気・ガスの配線配管工事や空調工事を含む内外装工事費として約200万円が見込まれています。
- 製造室と売場の区画: パン生地は湿気を嫌うため、店舗デザインマガジンの記事でも多くの店舗がベーカリーの製造室と料理の仕込み場を分けて設置していると解説されています。区画の取り方は保健所の施設基準にも関わるため、設計段階での検討が必要です。
- 物件の状態(スケルトン/居抜き): 前テナントがベーカリーや洋菓子店であれば動力電源や給排水を流用しやすい一方、一般の飲食店の居抜きでは電気容量が足りず増強工事が必要になる場合があります。
開業までの流れ
- 物件探し・契約: 坪数・立地に加え、動力電源の有無・ガス容量・オーブンなど重量機器の搬入経路を確認します。
- 保健所への事前相談: 着工前に管轄の保健所へ図面を持参し、菓子製造業許可の施設基準(製造室の区画・手洗い設備・シンクなど)を確認します。イートインやサンドイッチ販売を予定している場合は、必要な許可の範囲もあわせて相談します。
- 内装設計・工事請負契約: 製造室のレイアウト・機器の配置・動力やガスの引込みを含めた設計を行い、内装会社と契約します。
- 着工・施工・機器搬入: 内装工事とあわせてオーブンなどの厨房機器を搬入・設置します。
- 保健所の検査・許可証の交付: 完成後に施設検査を受け、許可証の交付を受けます。
- 開業
出典: RESTA「菓子製造許可とは?飲食店営業許可の違いや必要な条件・申請手順の流れ・罰則を解説」(https://inuki-ichiba.jp/resta/inshokuten-kashiseizoukyoka/)
必要な営業許可 — 菓子製造業許可と飲食店営業許可
パンの製造・販売の基本となるのは菓子製造業許可です(厚生労働省の解説では、菓子製造業はパン製造業を含むと整理されています)。菓子製造業許可では、包装した菓子・パンのテイクアウト販売ができます。
イートインを併設する場合の扱いは資料によって説明が分かれています。RESTAなどの解説記事では「イートインには菓子製造業許可と飲食店営業許可の両方が必要」と説明される一方、2021年施行の改正食品衛生法に関する厚生労働省の資料では「菓子製造業の許可を受けた施設で、客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供する場合、飲食店営業の許可を要しない」「菓子製造業の許可を受けた施設で調理パンを製造する場合、そうざい製造業又は飲食店営業の許可を要しない」と明記されています。提供の形態(ドリンクの種類・調理の範囲など)によって判断が変わりうるため、計画段階で管轄の保健所に必要な許可の範囲を確認することを強くおすすめします。
内装会社選びのポイント
- ベーカリー・洋菓子店の施工実績が豊富か
- オーブンなど重量機器の搬入経路・床荷重・設置スペースを事前に検討してくれるか
- 電気(動力)・ガス容量の現地調査を行ったうえで見積りを出してくれるか
- 製造室と売場の区画など、保健所の施設基準を踏まえた設計ができるか
- 厨房機器の新品・中古それぞれの選択肢と概算費用を提示してくれるか
- 見積りの内訳が明確で、厨房機器の含否や追加工事が発生しうる条件を説明してくれるか
ベーカリーは設備計画と内装設計の一体性が特に重要な業態です。焼きたいパンの種類(スクラッチ製法か冷凍生地か、ハード系かソフト系か)を具体的に伝えたうえで、複数社から見積りを取って比較することをおすすめします。
東京で開業する場合の留意点
東京23区はビルイン物件が多く、動力電源の引込みや重量のあるオーブンの搬入(エレベーターの有無・サイズ)に制約がある物件も少なくありません。物件を決める前に、内装会社に設備条件の確認を依頼すると安心です。
また、23区は保健所が区ごとに設置されており、菓子製造業許可の施設基準やイートインの取り扱いなど、運用の細かな確認内容が異なる場合があります。物件が決まったら早めに管轄の保健所へ相談することをおすすめします。
よくある質問
Q. パン屋の開業にはどの営業許可が必要ですか? パンの製造・販売の基本は菓子製造業許可です。イートイン併設やサンドイッチなど調理パンの扱いは、2021年施行の改正食品衛生法で整理されましたが、提供形態によって判断が変わりうるため、管轄の保健所への事前確認をおすすめします。
Q. 居抜き物件でベーカリーを開業すれば費用を抑えられますか? 前テナントがベーカリーや洋菓子店の場合は、動力電源や給排水などの設備を流用しやすく、費用を抑えやすい傾向にあります。一般の飲食店の居抜きでは、オーブン用の動力電源や電気容量が不足し、増強工事が必要になることがあります。
Q. 厨房機器はすべて新品でそろえる必要がありますか? 中古機器を活用すれば新品より費用を抑えられる場合があります。ただし保健所の基準を満たす状態か、耐用年数や衛生面を確認したうえで選定することが大切です。
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